29 「主よ。今こそあなたは、あなたのしもべを、 みことばどおり、安らかに去らせてくださいます。
30 私の目があなたの御救いを見たからです。
31 御救いはあなたが 万民の前に備えられたもので、
32 異邦人を照らす啓示の光、 御民イスラエルの光栄です。」
33 父と母は、幼子についていろいろ語られる事に驚いた。
34 また、シメオンは両親を祝福し、母マリヤに言った。「ご覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人が倒れ、また、立ち上がるために定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。
35 剣があなたの心さえも刺し貫くでしょう。それは多くの人の心の思いが現われるためです。」
36 また、アセル族のパヌエルの娘で女預言者のアンナという人がいた。この人は非常に年をとっていた。処女の時代のあと七年間、夫とともに住み、
37 その後やもめになり、八十四歳になっていた。そして宮を離れず、夜も昼も、断食と祈りをもって神に仕えていた。
38 ちょうどこのとき、彼女もそこにいて、神に感謝をささげ、そして、エルサレムの贖いを待ち望んでいるすべての人々に、この幼子のことを語った。
39 さて、彼らは主の律法による定めをすべて果たしたので、ガリラヤの自分たちの町ナザレに帰った。
40 幼子は成長し、強くなり、知恵に満ちて行った。神の恵みがその上にあった。
41 さて、イエスの両親は、過越の祭りには毎年エルサレムに行った。
42 イエスが十二歳になられたときも、両親は祭りの慣習に従って都へ上り、
43 祭りの期間を過ごしてから、帰路についたが、少年イエスはエルサレムにとどまっておられた。両親はそれに気づかなかった。
44 イエスが一行の中にいるものと思って、一日の道のりを行った。それから、親族や知人の中を捜し回ったが、
45 見つからなかったので、イエスを捜しながら、エルサレムまで引き返した。
46 そしてようやく三日の後に、イエスが宮で教師たちの真中にすわって、話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。